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簿記6日目 有形固定資産の減価償却


昨日の記事の通り、このシリーズは人に教える目的ではなく、筆者がほぼ何も知らない状態から12日間で簿記3級の知識を身につけていく過程を楽しむシリーズなので、時々とんでもなく無知なことを書いていると思います。「減価償却」というと、賃貸物件の退去において、あるいはやはり簿記と同じく固定資産・車・ブランド品などのリセールバリューがあるものについてチラッと耳にした程度です。

有形固定資産と無形固定資産

一般消費者が耳にする機会として固定資産・車・ブランド品などを挙げましたが、事業の場合は比較的高額で長年にわたって使用できる備品、例えばデスク、什器、パソコン、印刷機、ロッカーなども有形固定資産に含まれます。一般家庭なら家具や家電などの数年単位で用いるものが当てはまるでしょうか。

なお、簿記3級では有形固定資産と対になる「無形固定資産」は範囲外ですが、これには主に知的財産権が含まれます。小売業・サービス業などを念頭とした商業簿記を範囲とした簿記3級には無関係ですが、製造業で用いられる工業簿記が範囲にある簿記2級では必須となります。簿記とは関係なく無形固定資産もそのうち勉強したいです。

減価償却とは

さて、高額な有形固定資産を購入した場合、その後何年にもわたって使用できるにもかかわらず、購入した会計年度のみに費用を計上してその年だけ損失が発生し、その後数年は大きな利益が発生するのはおかしなことです。また、有形固定資産は購入したときのままの価値ではなく、年月の経過に伴って価値が減少します。これらのことを帳簿に反映するのが減価償却です。

ここでは簿記3級で出題される定額法のみを扱います。

有形固定資産を購入したとき、その年の費用の発生とするのではなく、毎年の決算において減価償却費を使用する年度に配分していきます。なお、建物・土地など再売却して価値がつくものは別として、2007年の税制改正により、備品は耐用年数に達したときの価格(残存価額)を1円まで、定額法での計算上は実質ゼロとして扱うことになりました。簿記での出題上は残存価額がつくこともありますが、実務上は残存価額はつかず、耐用年数の最後の会計年度に1円が残るように処理するとのことです。減価償却費は次の式で表されます。

減価償却費=(取得原価ー残存価額)÷耐用年数

ただし、実際は残存価額ゼロとする物が多いので次のように表します。

減価償却費=取得原価÷耐用年数

なお、減価償却の対象となる有形固定資産の耐用年数は、税法で規定された年数がある場合が多く、一覧が国税庁の公式サイトで確認できます。
参考リンク:耐用年数表

例えば、20万円のパソコンは器具・備品>事務機器、通信機器>電子計算機>パーソナルコンピューター(サーバー用のものを除く)となるため、耐用年数は4年と定められています。定額法・残存価額ゼロとする場合、20万円を4年で割って、1年あたり5万円として処理します。仕訳は次の通りになります。

借方勘定科目借方貸方勘定科目貸方
減価償却費50,000備品減価償却累計額50,000

賃貸物件の減価償却

イメージしていた「賃貸物件の減価償却」は、経済産業省の管轄下にある国税庁ではなく、国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」に定められているそうです。不動産経営者や物件の所有者なら国税庁のガイドラインも建物の価値の算出に大切でありガイドラインとも無関係ではありません。例えば、「賃貸物件は6年で減価償却により賃借人の負担が1円になる」というのは、クッションフロアやフーリングなどの「じゅうたんその他の床用敷物」の耐用年数が6年と定められていることが根拠であるようです。一般の賃借人が知っておくべきものはどちらかというとこの「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」です。
参考リンク:「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」について

Posted in クリエイター向け情報