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アドベントカレンダー2022 17日目「ニコニコvsFC2 前編」


これを書いているのは12月21日。クソが(過去の自分に対して)

この投稿は12月17日としていますが、実際に投稿したのは12月21日です。
ちなみにとても1回では足りなさそうなので、とりあえず前中後編に分ける予定です。
12月20日は「Twitterの迷惑DMとアプリ連携」、12月21日は「自称国税庁の迷惑SMS」の予定です。

タイトルこそ「ニコニコvsFC2 その1」ですが、これは動画サービスとしてのことではなく、ニコニコ動画・ニコニコ生放送などを運営する株式会社ドワンゴが持つ特許権に関する知的財産高等裁判所での訴訟です。
サムネイルは普段見るジャンル等を問わず誰もがニコニコ動画らしいと認めるであろうあの動画ですが、念のためリンクは貼っておきます。
関連リンク:新・豪血寺一族 -煩悩解放 – レッツゴー!陰陽師

特に人気の動画(特にサムネイルとして切り取った部分)の特徴として、「動画自体が見えなくなるほどのコメントで画面が埋まっている」ことが挙げられます。
この特許権訴訟で扱われていたのはこのコメントを表示するシステムに関することです。

2022/07/20の判決でドワンゴの勝訴が一部メディアで報道されましたが、注目度の高いと思われる法人同士の裁判(法人同士なら個人情報の修正等の必要がない)、また知的財産高等裁判所の判決にもかかわらず、判決文の公開までに2ヶ月以上かかっていたようです。そこ今更取り上げるのとか言わない
判決文を見て驚きました。

150ページって何、この…何?

関連リンク:令和4年7月20日  知的財産高等裁判所

「当事者の表示 別紙当事者目録記載のとおり」

こんなの初めて見た!
この裁判では第一審で原告株式会社ドワンゴ側が請求を棄却され敗訴しているので、控訴人が一審原告、被控訴人が一審被告です。
法人同士だと関係する法人が複数の場合(この場合は被告はFC2,INC.とその関連会社である株式会社HPS)や代理人弁護士が多数になることもあるので、このような記述になることがあるようです。
また、その性質上具体的な損害額が明かせないようなので、判決文の損害の請求額に関する部分に修正がされていますが、認められた損害賠償の金額が1億円なのでかなり莫大な金額の請求があったと考えられます。
一審判決は以下の通りですが、これでも80ページあります。
関連リンク:平成30年9月19日  東京地方裁判所

並行してドワンゴに対する特許無効審判など同じような訴訟がいくつかありますが、一部係争中のものもあるので詳しくは扱いません。
ここではこの訴訟での争点を列記しておきますが、特許権についての訴訟である以上、技術的な面での説明や比較が大部分であることが判決文が膨大な分量になっている理由のようなので、もっとわかりやすくしたものを後に書きます。
問題となった特許権は、厳密に見れば異なる部分もありますが、主にニコニコ動画・ニコニコ生放送の特徴である「右から左へコメントが流れるシステム」に関することです。というかそれがニコニコの特徴と言えるかどうかも争点の範囲です。
1.被告ら各装置及び被告ら各プログラムは,文言上,本件各発明の技術的範囲に属するか
2.被告ら各装置及び被告ら各プログラムは,本件発明2と均か等なものとして,その技術的範囲に属するか
3.本件各特許は特許無効審判により無効にされるべきものと認められるか
4.被告FC2の行為は不法行為を構成するか
5.被告HPSの行為は不法行為を構成するか
6.本件 発明は新規性又は進歩性を欠くものであるか
7.差止請求及び抹消請求の可否
8.損害の発生の有無及びその額

技術的な面は難しいしFC2とHPSの関係とかは一般ユーザーにはどうでもいいのでこの判決のポイント!
一つ!「コメントの特許」中編に続く!
二つ!「海外サーバー」後編に続く!


Posted in 知的財産権全般