YouTubeが著作権無法地帯だった頃を知っている人なんてどれだけいるんだよ。
この投稿は12月19日としていますが、実際に投稿したのは12月21日です。
後編では「海外サーバー」について扱います。
サムネイル:新・豪血寺一族 -煩悩解放 – レッツゴー!陰陽師
前編:アドベントカレンダー2022 17日目「ニコニコvsFC2 前編」
中編:アドベントカレンダー2022 18日目「ニコニコvsFC2 中編」
一審はそもそも被告らが原告の特許を侵害していないという判決ですが、この部分も二審でほとんどが覆っています。
関連リンク:
令和4年7月20日 知的財産高等裁判所
平成30年9月19日 東京地方裁判所
問題となった特許は主に次の2つです。
関連リンク:
特許4734471
特許4695583
一審被告ら(二審被控訴人ら)は次のように主張しています。
被控訴人ら各サービスに係る情報は、米国内のサーバから自動的に配信されるものであり、当該情報の提供行為は、米国内で完結しているのであるから、属地主義の原則に従い、これに我が国の特許法の効力が及ぶことはない。
令和4年7月20日 知的財産高等裁判所
お前は何を言ってるんだ ドワンゴの特許なんて侵害していないという主張であって海外サーバーにあるとか関係ないんじゃないのか
これが墓穴を掘ってしまったのか、この判決で次のようなおそらく前例のない重要な判断が示されました。
しかしながら、本件発明1-9及び10のようにネットワークを通じて送信され得る発明につき特許権侵害が成立するために、問題となる提供行為が形式的にも全て日本国の領域内で完結することが必要であるとすると、そのような発明を実施しようとする者は、サーバ等の一部の設備を国外に移転するなどして容易に特許権侵害の責任を免れることとなってしまうところ、数多くの有用なネットワーク関連発明が存在する現代のデジタル社会において、かかる潜脱的な行為を許容することは著しく正義に反するというべきである。他方、特許発明の実施行為につき、形式的にはその全ての要素が日本国の領域内で完結するものでないとしても、実質的かつ全体的にみて、それが日本国の領域内で行われたと評価し得るものであれば、これに日本国の特許権の効力を及ぼしても、前記の属地主義には反しないと解される。
令和4年7月20日 知的財産高等裁判所
要約:「海外にサーバーを移すなんていう法の抜け穴なんか認められるかよ」
これらの事情に照らすと、本件配信は、その一部に日本国の領域外で行われる部分があるとしても、これを実質的かつ全体的に考察すれば、日本国の領域内で行われたものと評価するのが相当である。
令和4年7月20日 知的財産高等裁判所
この判決によると「海外にサーバーがあっても日本人による日本人向けのサービスなので日本の法律で判断する」ということになります。
この件に限らず、これ海外サーバーの違法アップロードなどをやろうと思えば根絶できるのではということも考えることができる意義のある判決だと思います。無修正アダルトコンテンツとかは考えてはいけない。