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「ゆっくり茶番劇」商標登録に関する今後の対策


質疑応答の要約

各社の質疑応答の要約です。なんというか質問のクオリティがあまり高くないか、踏み込みすぎて一企業で答えられる性質のものではないように二極化していると感じました。
正直言ってもっと記者の側にも知財リテラシーが必要なのでは

質問「他の動画サービスでの文字商標の使用についてどう考えているか」(フリー記者)
回答「この件についてはスピード感を重視してニコニコ動画を中心として原作者、法律事務所と連携して対応した」(栗田さん)
ニコニコ動画はやはり日本に本部があり、日本の法律に従った対処ができるというアドバンテージがかなり強いと感じました(大事なことなので2回言いました)。YouTube等の海外に本部のある動画配信サービスではこのようなスピード感のある日本の法律に従った対応は望めない、というか悪い意味ではなくそんな場合ではないと思います。

質問「ニコニコ動画や株式会社ドワンゴはどのような立場で関わっているか」(産経 記者)
回答「動画プラットフォームであり、商標権に関して警告や提訴を受ける可能性がある当事者(=利害関係人)であると考えている」(栗田さん)
質問「商標権に関する問題に関して、今回の対応が一つのフォーマットとしているのか、今回限りの措置なのか」(産経 記者)
回答「この件は世の中の関心が非常に高かった。対応はケースによるが、今回の件での知見を活用したい」(栗田さん)
法律問題はケースによって対応が異なるのは当然ですが、多くの人が知っていて誰かが独占するような性質のものではない商標登録がされた場合に参考になる部分の多い前例ができたと考えています。

質問「商標登録無効審判には5年の期限があるが、なぜ放棄交渉を先に行うのか」(ITmedia 記者)
回答「商標権者(の所属コミュニティ)が放棄の意向を示しているので穏便な解決を望んでいる」(栗田さん)
質問「会社として日本の法律について課題があると感じたか、影響力のある会社なので政府などに働きかけるつもりがあるか」(ITmedia 記者)
回答「いわゆるネットミームは著名・周知とは言い難いものもあり、個別の対応が必要なものでもあるので法律や制度全体に働きかけるのは難しいと感じた」(栗田さん)
それはここで質問するようなことなのかどうか疑問に感じました。

質問「商標権者と連絡はとっているか」(オリコン 記者)
回答「本日以降の対応になり、現時点で詳細は差し控えたい」(栗田さん)
これは現時点では答えづらいところだと思います。

質問「商標権者の所属コミュニティから商標権の放棄について発表があったことについてどう考えているか」(日本テレビ)
回答「商標権者本人からの発信がなく、また商標権者とされる人物が出願人本人かどうかもわからないので今後事実確認などの対応をしていく」(栗田さん)
これも現時点では答えづらいところだと思います。

質問「株式会社ドワンゴが商標権を取得した場合、他の動画サービスが他の用語について商標権を取得して動画サービス同士で商標権を行使するような事態になることや、動画サービス同士での商標権の管理団体などは検討しているか」(産経 記者)
回答「影響力がある会社としての責任と考えていて、また商標権を不適切に行使した場合には関係企業にもリスクがあるので信用していただきたい。他の動画サービスとは必要があれば連携することもあると思うが現状では検討していない」(栗田さん)
これはここで聞くところなのか…?と思いましたが、実際には動画サービスには海外に本部があるものが多く、難しいところではないでしょうか。

質問「この件についての法務部としての見解や日本の法律に関する課題をお聞きしたい」(ITmedia 記者)
回答「法律に関する課題や法的に踏み込んだことついては今お答えできる状況ではない」(法務部長 小川さん)
質問「諸外国等で参考にした事例があるか」(ITmedia 記者)
回答
「諸外国については特に参考にしていない」(法務部長 小川さん)
「会社には既に”投げ銭”の商標登録の前例がある」(栗田さん)
“投げ銭”商標登録の初出はここでした。J-PlatPatで検索したらもう一つ出願人が出てきて面白かった

質問「商標権者の主張に法的な効力が認められない可能性が高いが、この件の対応は世の中に知らしめることと、法的な効力が発生するかもしれないことの抑制のどちらか、またはその両方が目的なのか」(フリー記者)
回答「商標権の効力が及ばない可能性が高いが、商標権者は権利を所有したままである。法的に正しいかどうかと言う具体的な踏み込んだことは法律事務所や特許庁とのやりとりを経ないと明らかにならない部分もある。商標権者の主張する効力は及ばないという見解を発表した」(栗田さん)
質問「商標権者の主張が通る可能性もあるのか」(フリー記者)
回答「最終的には法律でのジャッジになるが、現時点での見解に妥当性があると考えている」(栗田さん)
法律問題に関しては断言するにはリスクが高い部分が多いです。

質問「文字商標を用いた動画タイトルも商標について問題ないのはなぜか」(TBS 記者)
回答
「ジャンル名として広く用いられていて商標権の対象にならないと考えている」(栗田さん)
「この文字商標は特定の商品や役務(サービス)の出所を表示するものとして使われているのではなく、コンテンツのカテゴリを示すものとして使われてきたので、商標的使用に該当しないと考えている」(法務部長 小川さん)
質問「商標権者のニコニコ動画の会員資格の剥奪などは考えているか」(TBS 記者)
回答「ニコニコ動画の利用規約違反に該当しているかどうかで判断する」(栗田さん)
商標としての使用とは自他の商品やサービスの識別であって、おそらく今回の「ゆっくり茶番劇」は用いたところで商標権者によるコンテンツと誤認される可能性が極めて低いという意味だと思います。
商標権者、ニコニコ動画にアカウントをそもそも持っているんだろうか…?

質問「相談窓口から警察を紹介するのはどういった場合か」(弁護士ドットコムニュース 記者)
回答「恐喝などの刑事上の問題が発生した場合を想定している」(栗田さん)
質問「法律事務所を紹介するのは民事の場合か」(弁護士ドットコムニュース 記者)
回答「民事について会社として代理を行うと非弁行為になるため相談窓口を経由して紹介する。紹介は無償で行う」(栗田さん)
できればそんなことにはならないといいですが、不安な請求の場合は相談しましょう。

質問「既に結構な数の相談が寄せられているのか」(Real Soundテック 記者)
回答「励ましの言葉などはいただいているが相談は現時点では寄せられていない。商標権者による権利行使や請求といった実害の発生は現時点では確認されていない」(栗田さん)
相談窓口の設置を発表したのは本日です。

Posted in 知的財産権全般