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28日後に行政書士試験を受ける人 「入籍の定義に厳しくなりがち」


社員の定義にも厳しくなりがち(「社員」=出資者であり経営者を兼ねることもある)。善意・悪意の定義にも厳しくなりがち。推定する・みなすの区別にも(以下略)

筆者が気になるトピックとなると全範囲の学習で軽く掘り下げたところを扱いがちなのですが、「情報通信」「個人情報保護」あたりに関わることは一般知識の対策になるだけではなく、当サイトを特に資格試験には興味は持たず閲覧している方にも有用な知識になりそうなので、そのうち(あと4週間しかないけど)やっていきたいと思っています。

一般的な用法として、報道やインターネット上や日常会話などで「入籍」というと「婚姻届を提出して夫婦になる」ことのように捉えられていますが、法律用語で厳密に解釈すると「既にある戸籍に新しく他の人物を入れること」なので、日本の多くの初婚同士の夫婦にはあてはまらないと考えられます。
初婚同士の夫婦の場合は、たいていは両方が親の戸籍を離れて新しい戸籍を編成することになります(後に述べる通り例外もあります)。日本国憲法のもとでの戸籍法の基本的な考えとして、「戸籍は夫婦とその未婚の子のみで編成する」ことになっていて、親・子・孫の3世代が同時に同じ戸籍に入ることはありません。そのため、婚姻の時点で夫と妻どちらの氏を名乗るかなど関係なく、両方が親の戸籍を離れることになります。戸籍の筆頭者は選んだ氏の側になりますが、これは現代ではせいぜい戸籍を識別するインデックス程度の役割しかありません。住民票で世帯を識別するインデックスが世帯主と同じです(それ以上の意味を持たせてしまう人が日本国憲法施行から70年以上経っても存在するのは大いに問題ですが…)。
余談ですが、「親・子・孫の3世代が同時に同じ戸籍に入ることはない」と書いた通り、婚姻可能年齢未満または未婚の女性が子を産んだ場合、その女性を筆頭者とした戸籍を新しく編成することになります。また、婚姻のときに夫の氏を選択して離婚した妻の戸籍に子を入れる場合、妻が親の戸籍に復しても子を入れるにあたって原則に従い結局戸籍を分ける必要があるので、子を妻が引き取る場合には妻の側が新しく戸籍をつくるのが一般的です。こう考えると離婚歴のある女性について安易に「出戻り」というのもおかしな話ですね…。

筆者の個人的な見解としては、「新しい戸籍に2人で入る」ことを日常的な言葉遣いでは広い意味で「入籍」と捉えてもいいのではないかと考えていますが、どうもこの言い回しのせいで夫の氏を名乗る場合は妻が夫の家の戸籍に入る、妻の氏を名乗る場合は夫が妻の家の戸籍に入るという誤解が生まれているのなら厳密に用いたほうがいいかもしれません。

実際に民法や戸籍法に基づく厳密な意味での「入籍」、つまり「既にある戸籍に新しく他の人物を入れること」には一般的には次のような例があてはまります。
・養子縁組の届出
・子の出生の届出。これを「入籍」という人はかなり珍しいが、理論上は入籍。
婚姻のときに夫の氏を選択し、離婚した妻の戸籍に子を入れる(あるいは婚姻のときに妻の氏を選択し、離婚した夫の戸籍に子を入れる)届出。厳密にはこの届出に用いる用紙を「入籍届」といい、入籍届というのはむしろ婚姻より離婚に関連が深い。
・離婚により筆頭者でない側が親の戸籍に入る場合や、養子離縁により実の親の戸籍に入る場合。これを「入籍」という人はかなり珍しいが、やはり婚姻より離婚に関連が深い。
・再婚や分籍などにより、既に親から独立した戸籍を編成している人を筆頭者として婚姻する場合。この場合は本当に「婚姻」と「入籍」が同時に起こるパターン。離婚歴があって戸籍が独立しているのは珍しくないが、親との不仲、成人してから親の離婚や再婚による氏の変更に振り回されたくない、あるいは単に戸籍謄本を取得する便宜のために未婚の成人が分籍することも自由である。

随分と日常的な用法のイメージと厳密な例のイメージが違うように感じられるかもしれませんが、厳密な用法を知ると入籍の定義に厳しくなりがちというのは筆者を含む法律初心者によくあることだと思います。

Posted in 資格試験対策