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33日後に行政書士試験を受ける人 「行政法:地方自治」


とりあえず割とちょうどいいところで定期更新は最後ですが、住民の生活に国政以上により密接に関わっている度合いの高い地方自治です。

地方自治法は299条からなり(ただし例によって削除されている条文もある)、その多くが住民の生活と密接に関わっているものです。
条文がそれなりに多い法律でのやり方に即して、「地方自治法:総論」「地方自治法:普通地方公共団体」「地方自治法:特別地方公共団体」の3本をやっていきます。このほか、補則(第298条・第299条)からなります。

地方自治法:総論

第1条〜第4条
例によって第1条に目的が定められていますが、「地方公共団体における民主的にして能率的な行政の確保を図るとともに、地方公共団体の健全な発達を保障すること」とされています。国の役割との違いについて、簡単にいうと全国的に統一すべきことや全国的な規模に影響することは国が担い、住民に身近な行政において地方公共団体の自主性と自立性が十分に発揮されるように地方公共団体が担うこととされています。
また、地方公共団体は法人格をもつとされています。この後に出てくる「普通地方公共団体」とは都道府県及び市町村、「特別地方公共団体」とは特別区(現時点ではいわゆる東京23区のみ)、地方公共団体の組合(例えば筆者の住む大阪府に存在するものでは、水防組合・消防組合・火葬場組合・墓地組合・ごみ処理組合や、介護保険広域連合・後期高齢者医療広域連合など)となります。
また、地方公共団体の休日について、いわゆる土日祝日、年末年始以外に、「当該地方公共団体において特別な歴史的、社会的意義を有し、住民がこぞって記念することが定着している日」を休日とすることも認められ、例えば沖縄県の「慰霊の日(6月23日)」、埼玉県の「埼玉県民の日(11月14日)」などがあります。

地方自治法:普通地方公共団体

都道府県と市町村について定められています。

住民
住民が属する普通地方公共団体の役務の提供をひとしく受ける権利とその負担を分任する義務を負うとされています。この「住民」には日本国籍はないが住民票をおいている外国人も含まれます。
日本国民たる普通地方公共団体の住民は次のような権利をもちますが、後で詳しく述べます。
・普通地方公共団体の選挙権
・条例の制定又は改廃を請求する権利
・議会の解散請求権、議会の議員等の解職請求権

条例及び規則
普通地方公共団体は法令に違反しない限りにおいて条例や規則を制定できます。
条例違反に対して次のような行政罰を科すことを定めることができます。規則違反に関しては秩序罰のみを定めることができます。
・行政刑罰(2年以下の懲役若しくは禁錮、100万円以下の罰金、拘留、科料若しくは没収)
・秩序罰(5万円以下の過料)
行政刑罰やその他の刑事罰では「科料」、秩序罰では「過料」と表記することに注意が必要です。
条例や規則のほか、法律で定められた行政刑罰や秩序罰もあり、例えば民事訴訟法第209条には当事者尋問で宣誓した当事者が虚偽の陳述をしたとき、10万円以下の過料に処することが定められていて、これは当事者尋問において宣誓の前後に裁判官からの警告があります。

選挙
選挙権と被選挙権についての定めがあります。
選挙権
日本国民であり年齢満18歳以上(2016年に満20歳からの引き下げが施行)で引き続き3ヶ月以上市町村の区域内に住所を有する者が、都道府県・市町村の議員及び長の選挙権をもつ。
被選挙権
都道府県議会議員・市町村議会議員の場合は、選挙権があり満25歳以上。
都道府県知事は、日本国民で満30歳以上。
市町村長は、日本国民で満25歳以上。
都道府県知事・市町村長は選挙権のような居住の要件はないので注意。
供託金が多額なことで実質的に被選挙権が制限されていることや、都道府県知事の供託金が全国一律であることから選挙権を持つ住民も多く住民以外からの注目度の高い東京都知事選挙で大喜利が起こりがち(表現がくだけすぎている)であることが問題視されている。

直接請求
日本国民である住民に認められている権利です。
条例の制定改廃の請求
選挙権を有する者の総数の50分の1以上の連署によって長に請求。長が直ちに請求の要旨を公表すること、議会の招集、代表者に意見を述べる機会を与えることが定められている。
監査の請求
選挙権を有する者の総数の50分の1以上の連署によって監査委員に請求。監査委員が直ちに請求の要旨を公表すること、監査を公表すること、代表者に意見を述べる機会を与えることが定められている。
解散及び解職の請求
議会の解散請求は選挙権を有する者の総数の3分の1以上の連署によって選挙管理委員会に請求。委員会が直ちに請求の要旨を公表すること、住民投票をおこなうことが定められている。
議員・長の解職請求は選挙権を有する者の総数の3分の1以上の連署によって選挙管理委員会に請求。委員会が直ちに請求の要旨を公表すること、住民投票をおこなうことが定められている。
役員の解職請求は選挙権を有する者の総数の3分の1以上の連署によって長に請求。長が直ちに請求の要旨を公表すること、議会による議決をおこなうことが定められている。

議会
都道府県・市町村には原則として議会をおくことが定められています。
町村には条例の定めにより議会に代わって町村総会をおき直接民主制として運営することも可能ですが、2021年10月現在では町村総会を実際においている町村はありません。
条例の制定改廃・予算・決算などの議決をすることやその他について定められています。

執行機関
「機関」というと組織的なイメージですが、ここで定められているのは普通地方公共団体の長(都道府県知事・市町村長)、補助機関(副知事・副市町村長)、委員会(都道府県と市町村とも教育委員会・選挙管理委員会・人事委員会又は公平委員会、都道府県では公安委員会・労働委員会・収用委員会・海区漁業調整委員会・内水面漁場管理委員会、市町村では農業委員会・固定資産評価審査委員会)、監査委員をおくことが定められています。

大都市に関する特例
政令指定都市(政令で指定する人口50万以上の市)に区を設けることができるといった特例、また中核市(政令で指定する人口20万以上の市)に関する特例が定められています。

その他、「給与その他の給付」「財務」「公の施設」「国と普通地方公共団体との関係及び普通地方公共団体相互間の関係」「外部監査契約に基づく監査」「補則」が定められています。

地方自治法:特別地方公共団体

特別区に関する定めで、2021年10月現在で該当するのは東京23区のみです。
その他、地方公共団体の組合や財産区が特別地方公共団体とされています。

Posted in 資格(試験対策・行政書士登録準備)