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46日後に行政書士試験を受ける人「憲法:三権分立」


奇しくも自民党総裁選の結果が出たところ、そして衆議院選挙も控えているのでなかなかタイムリーですが本日は憲法の最終回「三権分立」です。

記事タイトルとしては何を扱うか端的にわかりやすくするため「憲法:三権分立」としましたが、実際には憲法の章立てに応じて「憲法:国会」「憲法:内閣」「憲法:司法」「憲法:財政」「憲法:地方自治」の5本でお送りします。

憲法:国会

第41条〜第64条
第41条〜第43条で「国の唯一の立法機関」であること、衆議院と参議院の二院制をとること、議員は国民を代表することについて定められています。
いわゆる「一票の格差」に関する判例がいくつかあり、現時点での選挙制度(小選挙区制・比例代表制)が憲法に違反するとはいえないとされています。
第44条は「議員及び選挙人の資格」とあり、「法律でこれを定める」となっているため18歳・19歳に選挙権を与えることは法律の改正のみで事足ります。「人種、信条、性別、社会的身分、門地、教育、財産又は収入によって差別してはならない」と定められているため、年齢によって選挙権・被選挙権を制限することは憲法に違反しませんが、例えば議員に女性の割合が少ないからといって女性候補者をを優遇する、学歴や納税額によって選挙権・被選挙権を制限するということはあってはならないと解釈できます。
第45条〜第49条はそれぞれの国会議員の任期(衆議院4年、参議院6年)、両議院議員兼職の禁止、その他選挙や歳費など法律で定める事項に関するものです。

第50条「議員の不逮捕特権」は一般の国民からするとなかなかのパワーワード(?)ですが、国会法の定めにより、現行犯逮捕の場合には適用されないほか、いくつかの判例があります。
・適法で必要な逮捕であれば議院は無条件に逮捕を許諾しなければならない(無制限の特権ではない)
・不起訴特権は包含しない(=逮捕せず在宅起訴や書類送検は可能とすると考えられる)

第51条「議員の発言・表決の免責」については、これも免責の対象についていくつかの判例があります。
・職務とは関わりなく違法又は不当な発言の場合(個別の国民の名誉又は信用を低下させる発言)には、特別の事情があることを条件に違法とされうる。
・議院の立法行為について、原則として国家賠償法に規定されている損害賠償責任が生じることはない。

第52条〜第64条については、議院の議決や衆議院の優越(原則は両議院が対等だがその中で優越する事項)、その他国会と三権分立の他の2つを担う内閣・裁判所との関係に関する事項です。
常会・臨時会(衆議院議員任期満了による衆議院議員選挙から30日以内に召集される最初の国会など)・特別会(衆議院解散による衆議院議員選挙から30日以内に召集される最初の国会)・緊急集会(衆議院解散中の参議院の国会)、法律案の議決や議員の資格争訟のの裁判・懲罰について定められています。
表決については原則として出席議員の過半数、資格争訟の裁判・秘密会の開催・議員の除名・衆議院で可決され参議院で否決された法律案などについては出席議員の3分の2以上の多数による議決が必要になります。2日前の記事での憲法改正は総議員の3分の2以上なので紛らわしいところです。
また、法律案・予算・条約の承認などに関する衆議院の優越、国政調査権、閣僚の議員出席の権利と義務(内閣との関係)、弾劾裁判所(裁判所との関係)が定められています。

とても幼い頃は祖父が時々国会中継を見ていたのですが、当時は小さくて何もわからないのでその人の意見で多数決をしていると思っていたのが純粋すぎて懐かしいです。法律案をスムーズに通すために政党を組織するのはわからなくもないですが、政党の方針に従って賛成や反対をしていて、反対する人はその政党を離れることもあると思うと一気に冷めました(何が?)。未だに純粋な子供の頃が忘れられず、そもそも政党ってなんのために存在するんだろう…議員それぞれの純粋な個人の意見で国会の議決をしたらどうなるんだろう…と想像することがあります。そういう意味では政党政治そのものに懐疑的なので、所属政党より個人を見る癖がついてしまっていて、極論すると前回の衆議院選挙では「投票しようと思っていた候補者の所属政党を投票所にある比例代表の名簿で初めて知る」という珍事が発生しました。
ゆくゆくはリモートでの投票?郵送での投票?とも言われていますが、現状の投票所での投票というのは最も投票の秘密や公正な選挙を守るのに適していると思うんですよね。

憲法:内閣

第65条〜第75条
第65条・第66条で行政権が属すること、内閣の組織及び行政権について国会に対する連帯責任を負うと定められています。
第67条で内閣総理大臣の指名について「国会議員の中から国会の議決でこれを指名する。」こと、また衆議院の優越について定められています。一般的には衆議院で最も議席を獲得している政党の長が指名されることになるとは思います。

理論上は無所属の国会議員が内閣総理大臣になることや、複数の内閣総理大臣が存在することが不可能ではない…というのを想像するのが筆者の思考の癖です。すみません。

第68条〜第71条で国務大臣の任免、内閣不信任決議、衆議院議員総選挙後の内閣総辞職、総辞職から新たな内閣総理大臣の任命まで引き続き内閣の職務を行うことが定められています。なお、国務大臣については「過半数は国会議員の中から選ばれなければならない。」と定められているのみで、2012年の第3次野田内閣を最後に2021年9月現在は存在していませんが、国会議員でない人、比較的直近…といっても9〜10年前では、菅(かん)内閣の片山元総務大臣、野田内閣の森本元防衛大臣などの都道府県知事・官僚・大学教授などであった人物が国務大臣として選ばれていた例があります。

第72条〜第74条は内閣総理大臣及び内閣の職務、法律・政令の署名について定められています。内閣総理大臣については内閣を代表して議案を国会に提出することなど、内閣については条約の締結(事前又は事後に国会の承認が必要)、予算の作成と国会への提出、政令の制定などです。
第75条は、国務大臣は在任中に内閣総理大臣の同意がなければ訴追されないことについて定められています。

憲法:司法

第76条〜第82条
第76条で司法権は最高裁判所及び下級裁判所(法律の定める高等・地方・家庭・簡易)に属すること、裁判官の独立性が定められています。司法権の及ぶ範囲については様々な判例がありますが、どちらかといえば他の合憲・違憲を争う裁判と関連するものが多いようです。

第77条〜第80条は最高裁判所の規則制定権及び、最高裁判所・下級裁判所の裁判官にかかわることが定められています。
裁判官の身分の保障(心身の故障あるいは弾劾によらなければ罷免されない)、最高裁判所の長以外の裁判官を内閣が任命し、国民審査・定年・報酬について法律で定めること、下級裁判所の裁判官は最高裁判所の指名によって内閣で任命され、10年の任期(再任あり)・定年・報酬について法律に定めることとなっています。なお、最高裁判所の長たる裁判官の任命権は、内閣の指名に基づき天皇に属することとなっています。

第81条の法令審査権と最高裁判所については、最高裁判所が法律等の合憲・違憲を審査することについて定められています。これは多くの憲法に関わる判例に影響するところです。

第82条は裁判の公開の原則が定められています。

憲法:財政

第83条〜第91条
財政について国会の議決を要すること、内閣が予算を国会に提出すること、国会の議決で予備費を設けて内閣の責任で支出することなどについて定められています。
第89条「公金その他の公の財産は、宗教上の組織若しくは団体の使用、便益若しくは維持のため、又は公の支配に属しない慈善、教育若しくは博愛の事業に対し、これを支出し、又はその利用に供してはならない。」の定める範囲について争われたことが多いようです。

憲法:地方自治

第92条〜第95条
地方自治の基本原則などが定められていますが、詳しくは行政法にて。

第96条〜第103条は一昨日扱ったところなので、憲法は3日で終わりです。次は民法(約7日〜8日)を予定していますが、それぞれの区分の間になるべく別の話題を挟もうかとも考えています。
法律は白黒はっきりつけるためのものというイメージがあるかもしれませんが、法律そのものは解釈に幅を持たせていることが多く、そこを白黒はっきりつけるのは法律ではなく裁判の役割で、そのために判例をあわせて学ぶことが必要なのだろうと考えています。

Posted in 資格試験対策