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8日後に行政書士試験を受ける人 「Google検索結果に関する訴訟」


新しい判例として学習の上での重要性と、当サイトで扱うことにも意義があることなので扱います。

行政書士試験の憲法・行政法・民法では主に最高裁(現代でも通用するものでは大日本国憲法のもとでの大審院)判例をもとにした出題が多いのですが、それなりに新しい判例で注目しておきたいものにこのGoogle検索結果に関する訴訟があります。

これは、原告がGoogle検索で自らの氏名と居住県で検索すると逮捕歴が検索結果に出ることを問題とした訴訟ですが、平成28年(許)第45号「投稿記事削除仮処分決定認可決定に対する抗告審の取消決定に対する許可抗告事件」ですが、最高裁は主文で抗告を棄却し、次のように判断しています。

本件は,抗告人が,相手方に対し,人格権ないし人格的利益に基づき,本件検索結果の削除を求める仮処分命令の申立てをした事案である。
(中略)
そして,検索事業者による特定の検索結果の提供行為が違法とされ,その削除を余儀なくされるということは,上記方針に沿った一貫性を有する表現行為の制約であることはもとより,検索結果の提供を通じて果たされている上記役割に対する制約でもあるといえる。
検索事業者が,ある者に関する条件による検索の求めに応じ,その者のプライバシーに属する事実を含む記事等が掲載されたウェブサイトのURL等情報を検索結果の一部として提供する行為が違法となるか否かは,当該事実の性質及び内容,当該URL等情報が提供されることによってその者のプライバシーに属する事実が伝達される範囲とその者が被る具体的被害の程度,その者の社会的地位や影響力,上記記事等の目的や意義,上記記事等が掲載された時の社会的状況とその後の変化,上記記事等において当該事実を記載する必要性など,当該事実を公表されない法的利益と当該URL等情報を検索結果として提供する理由に関する諸事情を比較衡量して判断すべきもので,その結果,当該事実を公表されない法的利益が優越することが明
らかな場合には,検索事業者に対し,当該URL等情報を検索結果から削除することを求めることができるものと解するのが相当である。

平成28年(許)第45号

判決文に独特の文章でわかりにくいですが、検索結果の削除を余儀なくされることは表現の自由や検索事業者が持つ社会的役割を制約することになるため、当事者にとって検索結果を公表されない法的利益が優越することが明らかな場合には検索結果が削除されるとしています。
その上で、原告は当の逮捕で罰金刑を科されたのちに再犯をすることなく民間企業に勤務し家族と普通の生活をしていたこともあり、検索結果で逮捕歴が表示されることについて、就業や家庭生活において現実に不利益を被っているとはいえず、検索結果を公表されない法的利益が優越することが明らかとはいえないということがこの抗告の棄却につながったようです。しかし判決文からすると、例えば有罪判決の犯罪者と同姓同名などを理由にいわれのない誹謗中傷を受けたり解雇や離婚などの現実的な不利益につながったりすると削除が認められると解釈できなくもないところです。

他にもこれとは別件で、”○○(企業名)” と入力したら「詐欺」などが検索候補に表示されることについて削除を求めた訴訟でも、最高裁は2019/07/16に上告棄却の判断をしています。これについてはインターネット上に公開されている判例は見つけることができませんでしたが、同様に東京高等裁判所での2審で「表現の自由の観点から、削除は厳格かつ明確な要件でのみ許される」との判断があったようです。
関連リンク:グーグル検索結果削除求めた原告の上告を棄却 最高裁

法令と一般知識どちらでも問われる可能性がある分野で、「表現の自由の制約」あたりがキーワードになりそうなので押さえておこうと思います。

ところで筆者個人としてもとても迷惑に思っている、いや個人の迷惑では済まず大学の後輩に迷惑がかかるかもしれない検索結果があるのですが、これらのことからすると削除が認められるより、より信憑性の高い情報で検索結果を上書きできるように努力したほうがよさそうです。「京都大学 農学部 教員免許」で検索!

 

Posted in 資格試験対策