とりあえず「実質無料宅建チャレンジ」シリーズは今日で一区切り。
「業務」ということですが、おそらく一般的に不動産の売買や賃貸にも役立つ知識が多いように思います。
特に重要な点をまとめています。
宅建業法:免許の条件
宅地建物取引業の免許については昨日扱いましたが、実際には下のような5つのもの(と人)がないと事務所として開業できません。
事務所そのものに関する要件は、都道府県によってある程度審査に差があるのか出題はされませんが、なんとなく行政書士よりは厳しそうです。
・成年者である専任の宅地建物取引士(事務所には5人に1人以上、案内所には1ヶ所に少なくとも1人)(第31条の3)
・報酬の掲示(第47条)
・従業者名簿(第48条)
・帳簿の備付け(第49条)
・標識の掲示(第50条)
従業者名簿は最終の記載から10年間、帳簿は事業年度の末日の閉鎖から5年間(自ら売主の場合は10年間)の保存が必要です。
このあたりは宅建業法だけではなく、施行規則(国土交通省令)や住宅瑕疵担保履行法(宅建業法で1問程度出題あり)にも関連があります。
宅建業法:専権業務
宅地建物取引士にしかおこなうことができない業務を詳しく見ていきます。
・重要事項説明書(35条書面)の説明
・重要事項説明書(35条書面)の記名(押印)
・契約書(37条書面)の記名(押印)
重要事項説明書(35条書面)は契約前の説明が必要であり、売買と貸借では異なる事項もありますが特に重要なものは以下の通りです。
・登記された権利に関すること
・飲用水・電気・ガスの整備の状況
・私道に関する負担(建物の貸借を除く)
・契約の解除に関する事項
・代金、交換差金及び借賃以外に授受される金銭の額及び当該金銭の授受の目的
その他いろいろ。これは実際に法律を読んだり、実際に使用できるもののテンプレートを確認したりするのが対策になります。
また、いわゆるIT重説あたりも出題がありそうです。
契約書(37条書面)は以下の事項が必須であり、また売主と買主(または貸主と借主)の両方への交付が必要です。
これは説明・交付については宅地建物取引士でなくても構いません。
・当事者の氏名及び住所
・代理や媒介に関係した者の氏名及び住所
・宅地又は建物の特定に必要な表示(地番等)
・代金又は交換差金の額並びにその支払の時期及び方法
・宅地又は建物の引渡しの時期
・移転登記の申請の時期
その他、定めがある場合には記載が必要なものを含みます。
宅建業法:媒介契約
売買の媒介契約について、第34条に定める次の3つが出題されます。
・専属専任媒介契約:売主自ら買主を見つけることも不可とする媒介契約。売主に1週間に一度以上の報告が必要。
・専任媒介契約;他の宅建業者への依頼を禁止する媒介契約。3ヶ月が期限。指定流通機構に登録し、売主に2週間に一度以上の報告が必要。
・一般媒介契約:上に定めるような制限のない媒介契約。
宅建業法:8種制限
売主が宅建業者の場合に課される制限です。
通常は買主が宅建業者でない一般の方を想定していますが、買主が宅建業者というクソめんどくさい問題も頻出です。買主が宅建業者の場合は相手も熟知していることなので必要ではありません。
・事務所等以外の場所においてした買受けの申込みの撤回等(クーリングオフ)(第37条の2)
・損害賠償額の予定等の制限(代金の20%以下)(第38条)
・手付の額の制限等(代金の20%以下)(第39条)
・担保責任についての特約の制限(引渡しから2年以上)(第40条)
・手付金等の保全(代金の5%超の部分に関する保全措置)(第41条)
・宅地又は建物の割賦販売の契約の解除等の制限(30日以上の期限を定めて書面で支払いを催告)(第42条)
・所有権留保等の禁止(買主に引渡すまで、又は代金の10分の3超を受け取るまでに所有権を移転)(第43条)
宅建業法:禁止や制限と処分
主な禁止事項。実際に守られているかどうかはともかく宅建業法違反になるものです。
・誇大広告等の禁止(第32条)
・広告の開始時期の制限(第33条)
・契約締結等の時期の制限(第36条)
・不当な履行遅延の禁止(第44条)
・業務に関する禁止事項(第47条)
第47条には主に以下のことが定められています。
・35条書面や37条書面について故意に事実を告げず、又は不実のことを告げる行為
・不当に高額の報酬を要求する行為
・手付について貸付けその他信用の供与をすることにより契約の締結を誘引する行為
・利益を生ずることが確実であると誤解させるべき断定的判断を提供する行為(そんなんどの職業でもそうでは?)
・契約を締結させ、又は宅地建物取引業に係る契約の申込みの撤回若しくは解除を妨げるため、宅地建物取引業者の相手方等を威迫
だいたい常識的に考えてダメです。
このような規定に違反した場合の監督処分については次のことが定められています。
他の処分は免許権者又は業務地を管轄する都道府県知事、免許取消・登録消除は免許権者や登録先の都道府県知事のみが可能です。
宅地建物取引業者の場合
指示処分:宅建業法又は住宅瑕疵担保履行法に違反した場合(聴聞必要・公告不要)
業務停止処分(1年以内):重大な違反の場合や指示処分に従わない場合(聴聞必要・公告必要)
免許取消処分:極めて重大な違反又は免許を得てから欠格事項に該当した場合
極めて重大な違反とは言えなさそうなものとして「免許を受けてから一年以内に事業を開始せず、又は引き続いて一年以上事業を休止したとき」が免許取消処分の条件として定められている。
宅地建物取引士の場合
指示処分:名義貸し等の不正や不当な行為をおこなった場合(聴聞必要)
事務禁止処分(1年以内):重大な違反の場合や指示処分に従わない場合(聴聞必要)
登録消除処分:極めて重大な違反又は登録以降に欠格事項に該当した場合
宅地建物取引業者の免許と異なり、実際に業務をしていないことで登録消除にはなりませんが、「宅地建物取引士証の交付を受けず業務をおこなった」場合は無免許営業として登録消除となります。