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知財検定への道 第1回「知的財産権の概要」


これまで個別の事例に関する話題をいくつか扱ってきました。それも並行して続けたいですが、「知財検定合格への道」として体系的な知識も扱っていこうと思います。

知的財産権

これは次に挙げる様々な権利の総称で、「知的財産(権)法」も同じく総称でありそういった法律そのものはありません。ただし、「知的財産基本法」という知的財産一般について定めた法律は存在しますが、一つ一つの法律で細かく定められているからか、「知的財産基本法」自体はあまり重要視されていません。「財産」というと一般的には現金、預金、不動産など具体的な形を持つものが想像されますが、「知的」財産とつくと主に人が創造した無形の財産を指します。特許権は特に大きな利益を生み出すことから、簿記・会計上も無形固定資産として扱われることがあります。

なお、特に重要な6つの法律である憲法・民法・刑法・商法・民事訴訟法・刑法を六法ということは「六法全書」のように一般的ですが、知的財産権六法という場合には「著作権法・特許法・実用新案法・意匠法・商標法・不正競争防止法」の6つを指すことが多いようです。

著作権

著作権法第1条では、「著作者等の権利の保護を図り、もつて文化の発展に寄与することを目的とする。」と定められています。この「文化」というのは他の知的財産権にない著作権特有のキーワードです。

産業財産権

次の4つの権利を指す総称で、「産業財産(権)法」も同じく総称でありそういった法律そのものはありません。次の4つは、すべて第1条に「産業の発達に寄与することを目的とする。」という内容の文言が含まれています(厳密には商標法は他にも目的が付け加えられているのでこのままというわけではありません)。

特許権

特許法第1条では、「発明の保護及び利用を図ることにより、発明を奨励し、もつて産業の発達に寄与することを目的とする。」と定められています。産業上利用可能性・新規性・独自性の3つが要件とされます。産業財産権の中では最も有名であり、特許権だけで巨額の利益を生み出すイメージすらあると思います。ハンドメイドに関連するものにはハマナカ「編みつける口金」など特許出願中のものはあるもののなかなか取得しているものは見つかりませんでした。裁縫・手編みなどで多くの人が模倣して自作しているものではコクヨ「ネオクリッツ」(いわゆる立つペンケース)が該当します。個人で楽しむ範囲で裁縫・手編みなどで作ることや作り方を公開することは問題ないそうですが、型紙・キット・完成品などの販売は特許権侵害になるとのことです。

実用新案権

実用新案権第1条では、「物品の形状、構造又は組合せにかかる考案の保護および利用を図ることにより、その考案を奨励し、もつて産業の発達に寄与することを目的とする。」と定められています。特許権と類似していますが、「発明」ほど高度で独自性があるわけではない「考案」を保護しています。ハンドメイドに関連するものでは、ハマナカ「アクレーヌ」(ニードルフェルト用アクリル繊維)、「くるくるボンボン」などが実用新案登録されています。

意匠権

意匠法第1条では、「意匠の保護及び利用を図ることにより、意匠の創作を奨励し、もつて産業の発達に寄与することを目的とする。」と定められています。いわゆるプロダクトデザインを保護しています。ハンドメイドに関連するものでは、ハマナカ「組ひもディスク」「くるくるボンボン」などが意匠登録されています。実用新案登録と重複する場合もあります。

商標権

商標法第1条では、「商標を保護することにより、商標の使用をする者の業務上の信用の維持を図り、もつて産業の発達に寄与し、あわせて需要者の利益を保護することを目的とする。」と定められています。他の産業財産権にないポイントが「需要者の利益を保護する」、つまり一般消費者をも守るための権利であるという点です。例えば粗悪な偽物を摑まされるようなことから消費者を守ることも目的であるようです。実例を挙げるまでもなく会社名、ブランド名、商品名、キャラクター名などが幅広く登録されています。

育成者権

これだけではわかりにくいですが、一時期改正に関する議論が紛糾していた「種苗法」といえばピンとくる人もいるのではないでしょうか。種苗法第1条では、「新品種の保護のための品種登録に関する制度、指定種苗の表示に関する規制等について定めることにより、品種の育成の振興と種苗の流通の適正化を図り、もつて農林水産業の発展に寄与することを目的とする」と定められています。筆者の大学での専門は植物学関連なので実は最も大学で学んだことと近い分野にある知的財産権です。改正に関する賛否両論の原因については、「国産品種の海外流出を防ぐ」という趣旨の改正案についてはあまり問題はなかったのですが、それに加えて「自家増殖に開発者の許諾が必要」という、国内での流通をも厳しく管理する規定が盛り込まれていた点であると考えられます。品種の流出のリスクを減らすことと農林水産業の発展のバランスをとることが求められます。

その他の知的財産権に関連する法律

不正競争防止法

「他人の商品等表示の使用」「他人の商品(形態)の模倣」「技術的制限手段の無効化行為(例えばCD・DVDのコピーガードの無効化など)」「営業秘密の侵害」「ドメイン名の不正取得と使用」「原産地を誤認させる行為」「営業誹謗行為(競合他社に関する虚偽の事実を広める行為など)」などの不正競争行為を禁止しており、個別の法律で守られない知的財産権を守るという側面があります。特に、有名企業などを騙るドメインの偽サイトや他者の営業上の信用を害する営業誹謗行為がインターネット上では問題になることが多いと考えられます。

独占禁止法

これも法律の名称、また違反した企業に対して措置を行う公正取引委員会については有名だと思います。「私的独占(不当な市場独占)」「不当な取引制限(カルテル・談合など)」「不公正な取引方法」を禁止しています。知的財産権に関わることは主に「不公正な取引方法」であり、知的財産権を濫用して他者に不利益な条件を突きつけ、不当な使用料を要求したり営業活動を制限する行為が独占禁止法違反となるおそれがあります。

その他出題の可能性のある法律

弁理士法(知的財産に関する専門家である弁理士の独占業務について)、関税法(知的財産権を侵害する物品の輸出入の禁止)、民法(契約の成立要件など)、また日本が加盟しているパリ条約(産業財産権関連)・ベルヌ条約(著作権関連)に関する出題もあります。

Posted in 知的財産権全般