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anelloの定番口金リュックの知的財産権


筆者の個人サイトやYouTubeチャンネルでは実用性やお得情報の観点で話題にしましたが、当サイトでは知的財産権の観点から考えてみたいと思います。

anelloの口金リュックの製造販売元である株式会社キャロットカンパニーは、次の主要3ブランドに関する5つの商標などの12個の商標を登録(審査中含む)し、模倣品対策をしています。

anello

老若男女を問わず使用できるバッグを展開する主要ブランド。定番の口金バッグ以外にも様々なラインナップがある。
主要商品である口金リュックの販売を始めた後の2014年11月出願、2015年3月登録。また、新たなロゴを2017年12月出願、2018年10月登録。

Legato Largo

主に女性向けのバッグを展開し、「かるいかばん」シリーズで有名になった。
anelloと同じ2014年11月出願、2015年3月登録。現行のロゴについては2020年5月出願、審査待ち。

anello GRANDE

anelloの人気・定番のベーシックなデザインを展開。直営店での販売はなくショッピングセンターやECモールへの卸売が中心。anelloよりちょっと対象の年齢層が高めのイメージがある。2018年1月出願、2018年10月登録。

その他

かつて展開していた雑貨ブランド「Paquet du Cadeau」「世界の人」、現在も展開中の扱いだがほぼ休眠状態とみられる「POLAR BEAR BENJAMIN」関連商標4種、社名「Carrot Company」が商標登録されています。

商標以外の知的財産権

次の2点が意匠登録されていることを確認しました。
・ホルベイン画材株式会社との共同開発である色鉛筆ポーチ(2019年3月出願、2020年1月登録)
・ロフトなど一部店舗で発売されているマウス型リュック(2019年1月出願、2019年11月登録)
つまり、定番の口金リュックについては意匠登録されていません。anelloの口金リュックが流行してから他のアウトドア系・カジュアル系ブランドからも次々と後発の口金リュックやショッピングキャリーバッグなど、anelloにない機能性を備えた製品が発売されています。むしろ「新しい定番の形を作った」ということでそれらの後発製品は特に問題だと考えていないのではないかと思います。

商標権侵害に対する厳正な対処

口金をバッグに用いるというアイデアのみを模倣されること、後発製品のことをおそらくキャロットカンパニーはあまり問題視していないようです。問題は、anelloの名を騙った粗悪な模倣品が出回ることです。

anelloは流行し始めた当初はまだブランド名を商標登録しておらず、口金リュックの販売が始まった後である2014年11月に商標を出願しました。流行に便乗した模倣品に対して「ECモールに対する削除依頼」「税関での輸入差し止め」「模倣品販売業者に対する訴訟」という地道な対策を行い、日本国内からはほぼ模倣品を駆逐しました。その事例は特許庁の「事例から学ぶ 商標活用ガイド」にも取り上げられています。また、模倣品販売業者に対する訴訟の判決については平成28年(ワ)第8424号判決に詳しく記載されていますが、被告業者の模倣品販売の差し止め・在庫の廃棄と損害賠償の支払いが認められました。

このように、必ずしも意匠権や実用新案権でデザインそのものを独占しなくても、商標権をうまく活用することで粗悪な模倣品を排除できるということがわかります。また、模倣品との見分け方は各国税関との協議により、悪用を防ぐためにキャロットカンパニーから公にすることはできないとのことです。また、先ほどの「商標活用ガイド」で他の様々な企業の事例を見ると、やはり同じように模倣品の排除のために商標権を活用しているケースは多いようです。一般の消費者としても、直営のオンラインストアや信頼できる店舗で購入するなどして、粗悪な模倣品を売る業者に利益が発生しないように心がけましょう。

今回取り上げた商品紹介

定番口金リュック(リンク先が検索結果を表示するだけである場合もあります。信頼できる店舗かどうかは自己責任でお願いします)

意匠登録されている色鉛筆ケース(ホルベイン画材と共同で登録されています)

意匠登録されているマウスリュック

Posted in 知的財産権全般