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編み物ユーチューバー著作権裁判 法律実務家の方々の反応(4)


なんだかやる気がなさそうなタイトルですがやる気がないのはタイトルだけです。

大阪高等裁判所で控訴審が継続中なので確定判決ではないものの、京都地方裁判所での判例の公開を受けて新たに意見を述べている方がいます。
判決文の公開を受けて、今まで詳細を知らなかった方も京都地方裁判所判決の概要に容易にアクセスできるようになりました。
なお、元となる判決文は以下の通りです。本日のサムネイルは判決文中に出てくる記号を図にまとめたものです。
関連リンク:令和3年12月21日  京都地方裁判所

岡野武志弁護士のYouTubeショート動画

YouTubeの「報告」機能で通報!ところが思わぬ展開に!?#Shorts

日本の弁護士で最も多い100万人超の登録者数を持ち、おそらく日本では弁護士としてYouTubeでの影響力が最も大きいであろう岡野武志弁護士のショート動画です。
ショート動画ということで様々な部分が省略され要点をまとめられていますが、コメントを見たところ多くの人が疑問に思うであろう部分はだいたいこういうことになります。2022/05/09現在で45万回以上再生され、数百ものコメントが寄せられているのを見ると、おそらく被告が今までのように何かコメントなりなんなり送ったとしても目に留まる可能性が低いと考えられます。

・YouTubeに非はないのか
簡単に言うとYouTubeも被害者です。
YouTubeには日々極めて多数の申し立てや報告が寄せられ、人の目で判定するのは現実的ではないので、YouTubeはアメリカの法律に従った措置をしただけです。
本来は削除されるべきではない動画が削除されたことで得られた収益を失ったとして、本国アメリカでは虚偽の著作権侵害申し立てをした人がYouTubeから損害賠償を請求された事例があります。

・明らかなスパムや迷惑行為も報告してはいけないのか
明らかなスパム、なりすまし、迷惑行為や犯罪行為を動画にしたようなものなど、当事者以外が見ても有害な可能性のあるコンテンツは報告の数がものを言うと考えられているので、そういったものは報告しても問題ないと考えられます。

・著作権侵害申し立てとは
著作権侵害申し立てはYouTubeの報告機能の中でも、他の報告機能のように簡単にできるものではありません。ショート動画なので色々省略されていますがそこまで気軽に送れるわけではないのでご安心ください。
本国アメリカの法律をベースにしている規約であり、相手方から訴訟を起こす場合のために申立人の氏名や住所といった個人情報が必要とされるので、申し立てた時点で侵害された確かな証拠と相手方に訴訟を起こされる覚悟を想定されていると考えられます。また、原則として侵害を受けた当事者でないと申し立てができません。「動画や音楽をそのままコピーしたり書籍をそのまま映したりした」くらい誰の目から見ても明らかでないと著作権侵害として認められる可能性が低いと思います。

これ以前の反応に関する続報

これは以下の記事の続報です。
現在は元のツイートは削除されていますが、元々フォロワーの多い方なので「想定以上に拡散された」「被告とみられるアカウントから削除を強要された」等が理由であることは考えにくく、「控訴審が継続中で確定判決でないので言及を避けることにした」あたりが理由かと推測していました。また、はてなブックマークに被告当事者に関するリンクを貼るお行儀の悪いコメントがあったので、そういった無用なトラブルを避けるためとも推測していましたが、だいたいその通りでした。
関連リンク:
編み物ユーチューバー著作権裁判 法律実務家の方々の反応(続き)
編み物ユーチューバー著作権裁判 法律実務家の方々の反応に対する反応

ツイートというのは良くも悪くも簡単に全て消すことはできないので誰でも閲覧できるところに残っています。一つずつ検証したいと思います。

一つ目として、元のツイートの弁護士の方は公表されている判決文からわかることだけを述べておられました。
おそらくお忙しいので現実的ではないものの、京都地方裁判所に保管されている当事者尋問の書き起こしや現時点で非公開の証拠を含む裁判記録をご覧になられたら、現状では中立な裁判官の書いた判決文のみからわかる被告両名に対するイメージがより悪くなることも考えられます。

二つ目として、公表されている判決文の13ページにも次のような記述があり、このことは当事者や関係者を知らなくても判決文から容易に知ることができます。

器具の紹介といった単なるアイデアにすぎないものについても,先行して動画を投稿した以上は,自身に権利が生じていると述べたり(甲29の1・2,3頁),投稿した動画におけるコメントにおいて,自らが概要欄で指定した手順が履践されない限り,著作権侵害に該当するなどと述べている

令和3年12月21日  京都地方裁判所

三つ目として、電話…(ドン引き) 行政書士の先輩からも聞いた通り相手の都合も聞かずいきなり電話するような人は十中八九相手にしなくていい 相手の都合のいいときに返信できるメールなりなんなりの手段がある今の時代に相手の都合も聞かず電話はマナー違反とかいうそのへんの怪しいマナー講師みたいなことを言いたくなる 音信不通にして正解 脅迫なんか通じるはずもないのはわかってる やや取り乱して申し訳ないですが、被告からの連絡「だけ」を理由にツイートを削除することは考えにくく、またツイートに非があったと認めたわけでもなく、はてなブックマークのお行儀の悪いコメント等の影響や控訴審が継続中であることを総合的に考慮した上での削除という判断だと推測しています。
ちなみにそんなことはないとは思いますがこの一連のツイートを理由に弁護士を懲戒請求したら、判例に照らして不法行為となる可能性が極めて高いです(あたりまえ体操)。

結論

被告両名からなぜか自然に出てくる「他人の言動を完全にコントロールできる」だとか「他人が何かしらの言動を強要する/される関係にある」だとか「他人に考えを押し付ける」だとかいう発想が筆者の倫理観では完全にアウトです。発想がアウトです。被告両名とは言ってません。発想です。
筆者の前職は教員ですが、それなりに成長して自分というものを捉えつつある中高生に対して教員(というか保護者の方も含む大人)にできることは「こうしてほしいということを本人がそうしたいと思えるように働きかける」というところまでです。あとは本人の思いや考えがどう変わるか次第で、押し付けることはできません。ましてや大人同士なら当然で、当サイトができることも「こういう事実や考え方があるということを伝える」ことまでで、それをどう受け取ってどのような感想を持ってそれについて何かしらSNS等で発言するかどうかは閲覧している方次第です。
被告両名がやはり何かしらの陰謀論にハマっているのではないかというのはむしろ心配であることには変わりません。

Posted in 編み物ユーチューバー著作権裁判

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