現時点で、前回の第5回弁論期日の頃には想像もつかなかったほど関西圏で新型コロナウイルスの感染が拡大し、緊急事態宣言が出る見込みです。状況にかかわらず第6回もリモートの予定ではありましたが、結果的にそれで良かったと言えます。
本日の動画はこちらです。
前回までの流れはこちらです。
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今回は被告の準備書面(前回の被告が提出した証拠をまとめたもの)・原告の補足説明(YouTubeのシステムや被告の過去の主張などをまとめたもの)として双方から書類を提出しています。
被告の準備書面
前回は被告チャンネルS自らが作成した証拠でしたが、今回は被告代理人がそれをまとめたものとなります。おもな主張は次の2つです。
・被告の動画を参照しないと原告の動画が作成できなかったと考えられる。
・原告は動画を復元するために異議申し立てができた(当初の答弁書と同様の主張)。
原告の補足説明
・YouTubeの著作権侵害申し立て通知、異議申し立て通知などのシステムについての説明。
・被告が異議申し立てを妨げる主張をしていた証拠。具体的には、異議申し立てをすると多額の裁判費用がかかるので示談で解決して誠意を見せろというコミュニティ投稿。(現在、該当の投稿は削除)
今回の新しい展開
次回の第7回弁論期日(リモート)は2021/05/28(金)16:30〜と決定しました。ついに、裁判官から証人尋問・当事者尋問が必要かどうかについて問われたとのことです。問題が明るみになってから1年以上が経ちましたが、やっと終わる見込みが少しずつ見えてきました。この問題を当初から見ていた人は被告に非があるのが明らかだと考えていると思いますが、前例のない裁判なので、どのように判断されるか想像がつきません。
被告は「異議申し立てで動画が復元できた」とたびたび主張していますが、異議申し立てを妨げる主張をしていた以前に、異議申し立てで容易に動画が復元するような著作権侵害申し立てをYouTubeの規約やDMCAは禁じています。この問題の当初と比較して、YouTubeヘルプの文言や著作権侵害申し立てフォームの様式に変更があり、また以前のように突然削除されるのではなく、7日間の猶予を与えることもできるそうです。
関連リンク:削除日が指定された著作権侵害による削除依頼とは
虚偽の申し立てはしないでください。削除依頼ウェブフォームを不正使用(虚偽の情報を提出するなど)すると、アカウントの停止や法的問題に発展する可能性があります。
著作権侵害による削除依頼を送信する
この通知に記載する情報は正確であり、虚偽の申告をした場合には偽証罪に問われることを認識したうえで、私は、自身が著作権者であること、または侵害されていると主張する独占的権利の所有者から代理権を許諾されている者であることを誓います。
動画の削除リクエスト
そして、著作権侵害申し立て通知そのものが正式な法的手続きの始まりであるため、申立人が異議申し立てを放置しないことも義務付けられています。
申立人は、著作権法で義務付けられているように、異議申し立て通知に 10 営業日以内に返信する必要があります。コンテンツが復元されることを申立人が防ぐには、法的措置を講じたという証拠を提出する必要があります。
著作権侵害の異議申し立て通知を送信する
原告チャンネルYと同様の警告を受けて異議申し立て通知を送信したチャンネルLの場合、異議申し立ての受理から10営業日の審査期間があることに言及されていました。被告チャンネルSが著作権侵害申し立てに対して異議申し立て通知を受けた場合、異議申し立て通知を放置して動画が復元するに任せることなく、責任を持って返信する義務があります。著作権侵害申し立て通知を送信した時点で、本来は申立人(今回の場合は被告)こそが多額の裁判費用を覚悟しなければなりません。YouTubeは日本の法律に基づかないシステムなのでなかなか法律の専門家でも判断が難しいと思われますが、このあたりから被告の主張を崩せると思います。