今回もリモートで弁論が行われたため現実には弁論期日としないようですが、系統立てて整理するため便宜上「第8回弁論期日」と表現します。
今回のライブ配信はこちらです。どちらかというと当事者尋問に関する解説が中心です。
今回は被告からの準備書面の提出がありましたが、要約すると「異議申し立てをすれば動画を復元できた」という旨をダメ押しで反論する内容であったようです。
本日までの原告・被告の弁論で一通り判決に向けての争点や証拠がまとまったとされ、次回2021/07/27(火)13:30〜京都地方裁判所にて当事者尋問が行われ、さらに争点や証拠を整理することが確定しました。裁判が始まって1年近く、やっと判決へと進んだというところです。
当事者尋問は公開で行われます。原告代理人弁護士を通じて傍聴の見込み人数を伝え、傍聴席の多い法廷を押さえてあるようですが、報道関係者でも、編み物にとりたてて関心のない裁判傍聴を趣味とする人でも、誰でも傍聴することができます。裁判傍聴に関しては個人サイトで触れたことはありますが、また改めて当サイトでも記事を書きたいと思います。
当事者尋問は次のような流れで行われます。
①原告に対する尋問(約30分)
原告代理人弁護士から原告当事者(原告チャンネルY)に対する主尋問が行われます。
ここでは、不当と考えられる著作権侵害申し立てによって被った経済的・心理的な損害や、申し立てによって侵害された権利についてはっきりさせることとなります。また、適当な損害額や異議申し立ての不受理について過失がなかったかも争点となります。
通常の著作権に関する裁判では著作権侵害を受けたと思った側が原告として訴えを起こし、実際に被告による侵害があったかどうかを争うことが多いと思われますが、この裁判では「著作権侵害をしていると一方的に決めつけられたことによる原告が受けた権利侵害」を問うことになるのがイレギュラーかと思います。
また、主尋問のあとに被告代理人弁護士からの反対尋問が行われ、そのあとに原告代理人弁護士から再主尋問が行われる場合もあります。
②被告に対する尋問(約30分)
被告代理人弁護士から被告当事者(被告チャンネルSおよび被告共同運営者YM)に対する主尋問です。
被告が著作権侵害申し立て通知を送った目的、この件に関する被告共同運営者YMの関与などをはっきりさせることとなります。
筆者個人としては、著作権侵害申し立てが法的に善意なのか悪意なのか、つまり著作権侵害申し立てが不当とされる可能性を知らなかったのか著作権侵害申し立てが不当とされる可能性を知っていたのかは非常に気になるところです。
また、原告に対する尋問と同様、主尋問のあとに原告代理人弁護士からの反対尋問が行われ、そのあとに被告代理人弁護士から再主尋問が行われる場合もあります。
③裁判官からの補充尋問(約10分)
これ以降、「和解」、または「最終準備書面の提出」から「判決」という流れになると考えられます。「和解」というと一般的な日本語では丸く収まるようなイメージですが、実際には裁判所の側から和解を勧告され、被告がある程度の賠償額を和解金として支払うケースも多いようです。今回のケースでは被告の行いの是非はさておいて(個人としては非が大きいと思っていますが)、前例のない判例が残ることに大きな意味があると思われるので、判決に至ることを望みます。
おおまかにこのような流れとなります。傍聴の心得などについてはまた後日記事にまとめたいと思います。