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編み物ユーチューバー著作権裁判 控訴審の結審


某所にアクセスしたらIT MEDIA EXPOの広告が表示された(唐突な報告)

動画は次の通りです。
関連リンク:7月29日 最終口頭弁論のご報告

控訴審の流れ

2022/01/04 一審被告による控訴(2021/12/21 京都地方裁判所判決に対して)

2022/02/23 一審被告による控訴理由書の提出
控訴理由の概要
・原告は動画削除によって法律上保護される利益を侵害されたとはいえない。
・人格的利益が法律上保護される利益とはいえない。
・被告共同運営者YMは共同不法行為者ではない
例によって何を言っても不適切になりそうなのでノーコメントにします。

2022/03/15 一審原告による控訴答弁書・附帯控訴状の提出
答弁・附帯控訴の概要
・原告は動画削除によって法律上保護される利益を侵害された。
・被告共同運営者YMの当事者尋問での回答には矛盾があり、無関係とはいえない。
・(附帯控訴)第一審で認められた損害賠償の金額は少ない。

2022/04/27 大阪高等裁判所第1回弁論期日
控訴人(一審被告)・被控訴人(一審原告)の主張は上の通りです。
民事訴訟の控訴審は1回結審も多いのですが、前例のない裁判であることから1回結審にはなりませんでした。
控訴人・被控訴人の双方に対して、YouTubeに関する追加情報の提出が指示されました。
関連記事:編み物ユーチューバー著作権裁判 控訴審第1回弁論期日

結審

2022/07/29 大阪高等裁判所最終弁論期日
ここまでにも何回かに分けてリモートや書面のやり取りで手続があり、主にYouTubeのシステム等に関する証拠の提出がありました。
裁判官の交代もあり、追加での情報も要求されました。

被控訴人(一審原告)のおもな主張
・一審で認められた損害賠償の金額が少なすぎる。
・一審では広告収益が動画投稿から日が経つほど減っていくという被告側の主張が部分的に認められたが、そんなことはない。
(時事に関する動画ではそういったことも多いが、編み物動画では必ずしもそうとは限らない)
・上の主張を補足するものとして、原告チャンネルYの収益のグラフデータを提出

控訴人(一審被告)のおもな主張
・動画削除の判断はYouTubeによるものであるため控訴人に非はない。
一審からある意味では一貫した主張ですが、YouTubeは動画削除の判断をしないので無理のある主張です。
裁判官(高等裁判所のため3人の合議制)も疑問に思っているようです。

控訴審判決

大阪高等裁判所にて、2022/10/14(金) 13:20〜 判決言い渡しとなります。
前例のない裁判、それも高等裁判所判決となると法律の学習者や実務家の関心も高いことが推定されるので、京都地方裁判所と同様に結審から判決までが比較的長期間となります。
確定した判決の概要が判例六法や模範六法・法務六法等に掲載され、将来の法律学習者や法律実務家にとって重要な判例になると言っても過言ではないと考えています。

それ以降のこと

控訴審判決に不服がある場合に一応は上告というのも残されているのですが、最高裁判所で扱われるのは法律問題に関すること(最高裁判決はニュースになることも多いのでご存知の方も多いかと思いますが、法律そのものの合憲・違憲など)なので、この裁判にはあてはまらないと考えています。仮にされたとしても上告に理由がないとして法廷を開かず「決定」で棄却される可能性が高いと考えています。考えているだけです。ただ前例のない裁判なので、有名どころではGoogle検索結果訴訟等のように、もしかしたら最高裁判所が理由つきの「決定」で棄却することもあるかもしれません。

Posted in 編み物ユーチューバー著作権裁判