これも前回の「傍聴の心得」と同様に、一般的な民事訴訟の当事者尋問の流れを示したものになります。
以下の法律事務所のwebサイトを参考にいたしました。一般の個人に対する当事者尋問がおこなわれる民事裁判というと、交通事故の損害賠償請求や労働に関するトラブルを想定しているサイトが多いようです。
関連リンク:
【民事訴訟】当事者尋問(本人尋問)|ながせ法律事務所
尋問について|あお空法律事務所
【証人尋問|スタート|人定質問・宣誓書朗読・尋問の順序・待機場所】|みずほ中央法律事務所
宣誓
「良心に従って真実を述べ,何事も隠さず,偽りを述べないことを誓います。」
その裁判所の定型文に従い、虚偽の陳述をしないことを宣誓します。裁判官より虚偽の陳述に対する過料の警告があります。
宣誓の間は傍聴人も含め起立しますが、宣誓が終わり、証言中は当事者も含め着席します。
主尋問
当事者の代理人である弁護士(原告の場合は原告の代理人弁護士、被告の場合は被告の代理人弁護士)が当事者に対して質問します。
反対尋問
原告に対しては被告の代理人弁護士、被告に対しては原告の代理人弁護士が質問します。
再主尋問
必要に応じて、再び当事者の代理人である弁護士が当事者に対して質問します。
補充尋問
必要に応じて、裁判官から当事者に対して質問します。
当事者尋問にかかる時間について
当事者1名につき30分〜1時間とされているので、原告1名、被告2名への尋問が行われる2021/07/27(火)13:30〜の裁判では1時間半〜3時間ほどの長丁場となることが予想されます。最初から最後まで傍聴予定の方は体調を万全に整え、時間に余裕を持ってお越しください。なお、当事者尋問の傍聴そのものは途中でも出入り自由です。
尋問での質問について
おそらく、特に被告2名に対して疑問に思うところが多い人もいらっしゃると思いますが、尋問で可能な質問の範囲がある程度決まっているため、「被告チャンネルSの著作権に関する認識」「被告共同運営者YMの関与」といった争点にかかわる箇所以外の質問はあまりできません。なお、民事訴訟法によると、尋問で可能な質問は次のように定められています。このような内容の制限、また当然ながら時間にも制限があるので、疑問点が何もかも解決するという性質のものにはならないかもしれません。
・個別的かつ具体的な質問。具体的には「はい」「いいえ」の2択、または一問一答で簡潔に答えられる質問をする。あまり当事者が長く答えるわけではなく、テンポよく多くの質問をして次々に答えていくイメージ。
・主尋問では「立証すべき事項及びこれに関する事項」、反対尋問では「主尋問に現れた事項及びこれに関する事項,証言の信用性に関する事項」、再主尋問では「反対尋問に現れた事項及びこれに関連する事項」について質問する。争点をずらすような質問は不可。
・当事者を侮辱し,又は困惑させる質問は不可。当然のことであるが、原告に対する反対尋問…さすがに代理人を挟むから大丈夫なはず。
・正当な理由なく、誘導質問、既にした質問と重複する質問、争点に関係のない質問、意見の陳述を求める質問、当事者が直接経験しなかった事実についての陳述を求める質問は不可。気になることは色々あっても、「争点に関係のない」とされると当事者尋問の場では不適切である。