このサイトを開設してまもないときの投稿において、2020年以前に起こったことを年表形式で総括しました。起こった事実をまとめただけであったため、具体的な被害がわかりにくい投稿だったと思います。今回は具体的な被害の概要をまとめます。
問題の大まかな流れについては、こちらの関連記事をご覧ください。
関連記事:編み物ユーチューバー著作権裁判 2020年を振り返る
1. 根拠が不明確な著作権侵害申し立て通知によるYouTube動画削除
裁判で問題となっているのはこの被害に関することであり、原告チャンネルYをはじめとした編み物の動画が削除されました。同様の被害に遭ったチャンネルLはのちに異議申し立ての受理によって動画が復元され、原告チャンネルYとチャンネルCCは、理由は不明ですが裁判が起こった数日後に動画が復元されています。とはいえ、もはや動画が復元されたから解決とはいえないため、同様の被害を二度と起こさないために法廷で著作権侵害を申し立てた根拠を明らかにしようとしている段階です。
2. 複数のチャンネルに対する動画削除の強要や嫌がらせ
「著作権侵害申し立て通知による動画削除」より以前に、チャンネルCP、チャンネルAが被告チャンネルSのウイルスショールの動画のコメント欄などで動画削除を強要され、実際に動画を削除してしまいました。このコメントは今でも閲覧が可能ですが、この問題に対して何の知識もない状態で送りつけられたらかなりの恐怖を感じるような内容です。直接的な表現で削除を強要したかどうかはもはや大きな問題ではなく、コメントされた側が恐怖を感じ、削除せざるを得ない状況に追い込んだのは事実です。
のちに、知的財産の観点からこの問題を解説した複数のチャンネルや、被告にとって都合の悪い内容を扱ったチャンネルにも同様の動画削除の強要がありました。動画を非公開にしてしまったチャンネルもありますが、この時期には被告による被害が明らかになっていたので、それを知っていればあまり臆することなく対応できるようになっていたと思います。
また、思い通りにならないチャンネルの動画に対して、被告チャンネルSおよび被告共同運営者YMによる嫌がらせのコメントもあります。筆者のチャンネルにもありますが、事実無根であることが明らかなのでそのままにしています。
3. 被告にとって都合の悪い情報に対する削除請求
2. とややかぶる点もありますが、この場合の被告にとって都合の悪い情報とは、筆者の個人サイトの前身にあたるブログです。どのような流れでプロバイダ責任制限法に基づいた措置をとられたかについてはまた日を改めて扱いたいと思います。
他にも被告による被害の疑いが強いものは枚挙にいとまがない状態ですが、それらは匿名のものなので、明らかに被告チャンネルSおよび被告共同運営者YMによるものだけをまとめることとしました。
結果
これらのあまりに身勝手な行いを放置していた場合、被害に遭った少なくとも5つのチャンネルは最悪の場合YouTubeそのものから撤退し、この5つのチャンネル以外にもさらに被害が拡大していたかもしれません。
しかし、当初被害に遭ったチャンネルLが異議申し立て通知を受理されたこと、それ以外の被害チャンネルを含めたハンドメイドYouTubeチャンネル全般の支援企業の発足に際して被害の状況を共有したことにより、被害に遭ったチャンネルも活動を再開することができています。問題が起こった当時はチャンネル登録者数が約6万人だったチャンネルLは活動再開してからさらに人気を集め、つい先日、YouTubeのシルバークリエイターアワード、日本での通称は銀の盾(チャンネル登録者数10万人の記念品)を獲得されました。銀の盾は単に10万人の登録者がいればいいというわけではなく、「チャンネルは表彰前に審査され、著作権侵害の警告、コミュニティ ガイドライン違反、チャンネル登録者数の水増しなどがなく、アカウントが良好な状態に保たれているクリエイターのみが表彰の対象」という条件付きなので、チャンネルLにおいて何も不適切なことが行われていなかったことがYouTubeの審査で証明されたという意味も持っています。その他のチャンネルも順調に登録者数、視聴回数を伸ばしています。
(参考リンク:表彰プログラム)
動画の数や質は本人の努力や投資でなんとでもなるものですが、チャンネル登録者数や視聴回数はそれだけではどうすることもできない、視聴者が寄与することのできるチャンネルの価値ということになります。チャンネルの動画を視聴し応援していた私たちひとりひとりがチャンネルの存続や活動再開の力になれたのかもしれません。原告チャンネルYを筆頭とした被害に遭ったチャンネルが結果的に人気を回復どころかそれまで以上に伸ばしたとはいえ、被告チャンネルSおよび被告共同運営者YMが複数の優良なチャンネルを休止状態に追い込もうとしたのは事実であり、それを許すわけにはいきません。進行中の裁判について判決がどうなるかなどには言及できませんが、他のYouTubeのジャンルも含めて二度と同じようなことが起こらないような重要な判例になることを期待しています。
(2020/12/23 23:10頃:一部の表現を修正しました)
(2020/12/24 12:30頃:一部を追記しました)